---------------至った結論:自殺 ---------------

夏が終わり、餌も仲間も全部いなくなり、
死に際を誤った哀れなカマキリは入水自殺を決行したのでしょう

とはいえ、あまりに苦しそうなので
カマキリくんに自殺を思い留ませる為、棒で救助。棒を差し出すと
カマキリくんはへばっていたにもかかわらず、さっさと棒にしがみついて来た。
入水したことを後悔していたのだろうか、そのまま必死でぶらさがっていた。

陸地に搬送中、砂浜に続く松林に人影を発見。こんな平日に来るやつ、他にいるんか。
人影は2人。どちらも男。ひとりがでかめのカメラをかかえながら
なにやらこちらを指差している。

カメラをもってない方の男が松林をくだってこっちに走ってきた。

走ってきてカマキリを草むらに棒ごと降ろした俺にこういった。

「すみません、ちょっとどいてもらえますか?砂浜を撮影するんで」

なんでも、誰もいない秋の海の砂浜の写真を取りに来たということで
俺がいると写ってしまってどうもまずいというのだ。

俺はかまわず撮影して、あとでフォトショップ
写ってる俺を思うさま消せ!なんなら俺が消してやろうか?フォトショップください。
と交渉するも、そこを何とかと言う。

つか、俺とてなにも海にカマキリを助けにきたわけではないんでね
この砂浜にある天然温泉露天風呂に入りにきたのだ。

露天風呂の位置を指さしながらそのことを伝えると、なんとそこも
写るからまずいという。

はてさて撮影にどれくらいの時間がかかるのか聞いて、たいした時間がかからないなら
どいててやってもよいと、譲歩するものの、
今は曇りだが、光が差したら撮る、光がさしてきたら即効でどいてくれ、などと無茶をいうので、これ以上交渉しても無駄でい。

俺は「わかりました。どきますね」と答えておいて、ずっと風呂に入っていてやる事にした。

仲間のもとに戻る男を背中に、俺は天然温泉露天風呂に向かった。

なかなかどうして一人で入るにはでかすぎる風呂じゃないの。

岩をコンクリで積み上げてあっていいかんじ

あの距離からなら写真に写ってもチンコは見えまい

みんなの温泉です。シャンプーや石鹸は使わないでくださいと、気の聞いた看板もある。

しかし、なんか、こー、湯気がたっていない? ん?

手を入れてみると立派な水だった。

気の聞いた看板に苦情の連絡先を探してみたが、何もなかった。

あっちではどうやら撮影が始まったらしい。

俺は邪魔にならないよう、そのまま松林に入り車に戻った。


夕刻、海っぺりの民宿に入る。

海っぺりの温泉に入れなかったので民宿の温泉につかる

泊まり客は俺だけなのか、だーれも来ない

夜、飯をだだっぴろい部屋で食う。

テレビまでの距離が異様に遠い。遠すぎる。

とりあえずボリュームアップしてみると、どうやら犯罪検挙特番のようだった

チャンネルをかえるのも面倒なので、そのままにしてビールを飲み始める。

と、テーブルがもういっこあって、他に2人ぶんの飯が用意されていた

泊まり客、他にもいたんだと思っていると

風呂上がりなのにこきたない男が2人やってきた


あ!さっきの写真の2人!


おれはコップを口につけたままぺこり

むこうもぺこり

さっきはすみませんでしたから始まる飲み会もあるんだねぇ